演じられたキャラクターへの感想、演じる上で意識したことなどがありましたら、お教えください。
田丸:
あおえは不器用だなぁと思っています。恋愛だけでなく、会社のシーンを見ても、もっと上手くやったら同僚といい関係を築けるのになって。人見知りであるとか、そういう不器用なところもありますし。そして恋愛においても、自分の気持ちになかなか気づかなかったり。昔から赤也に対して“好き”っていう気持ちがあったんだけど、でもこの感情がなにかわからないっていう状態だったんじゃないかな?と思っています。そして、そんな不器用なあおえを演じていて愛しいなぁと感じました。演じる上では普段わりとクールで、感情をどんどん表に出していくタイプではないので、それをどこまで表現として声に出していくか。バランスを考えながら演じさせていただきました。
前野:
赤也くんはコミュニケーション能力もまぁまぁ高くて、誰に対しても気持ちよく接することのできるキャラクターだとは思うんですけれども、その中でもあおえくんに対する対応っていうのは少し異色というか、優しさだったり、自分の想いだったりっていうのを秘めているっていうところもあって。なので、あおえくんと話しているところと、仕事仲間だったり他の方たちと話しているところっていうのは、そんなにガラッと大きな違いというのはないかもしれないんですが、自分の意識の中では“このセリフの対象はあおえだから、もう少しこういうニュアンスでやろうかな”なんていうところは意識させていただきましたね。あと難しかったのが、中学と高校の差(笑) 中学時代と高校時代の差をどういう風につけようかなというのが、僕の声質もあるんですが、難しかったポイントの一つですね。多分どこかでグンッと成長した子だと思うので、その成長する前の段階を演じるっていうのがすごく難しかったですね。
田丸:
やっぱりこの作品においては、過去の小中高という世代も外すことのできないシーンだなと思っていまして、その中でも“絵しりとり”が、この作品の根幹に関わる、すごく大事なもので。ちっちゃい頃に何気なくあったものが、大人になってから大事なものになるみたいな、そういうのがすごく素敵だなぁと思いました。冒頭の方から“絵しりとり”のシーンは出てくるんですけど、そこも絶対に聴き漏らさずに聴いていただけたら嬉しいなと思います。
前野:
“絵しりとり”って話を田丸くんも挙げられていましたけど、その“絵しりとり”でみかんを描いてしまって、一旦完結してしまったんじゃなかろうかというところから、実はまだ続きがあったというくだりの流れがすごく印象的だったので、すごく好きなポイントの一つですね。あとは、スマホを強引に勧められて、東京までの距離を思わず訊いてしまうのも、すごくグッとくるシーンだったなーと思います。
前野:
すごく強引な店員でしたけどね(笑) あれは店員さん、いい仕事しましたよ。
赤也はデザイン事務所を立ち上げたいという夢を叶えましたが、幼少の頃になりたかった職業や、声優以外にやってみたい職業などがあればお教えください。
田丸:
僕自身は記憶にはないんですけど、幼稚園のとき、同じ誕生月の人みんなで、写真を撮って手形を残して将来の夢を書く、みたいな手帳のようなものが残っていまして。そこには“パチンコ屋さん”って書いてありました。
田丸:
両親共にパチンコやらないんですけど、何故かパチンコ屋さんって書いてありましたね。
前野:
すぐ入れるじゃん。帰りに入って行きなよ(笑)
田丸:
一回も入ったことないんですけど、なぜか書いていましたね。理由はわかりません。
田丸:
賑やかな音が楽し気に聞こえていたのか、わかんないですけど。その後、小学生の頃には“考古学者”って書いてました。
田丸:
恐竜が大好きだったので、そういう「化石とかを発掘する職業の人たちはなんていうの?」って親に訊いたら、「考古学者っていうんだよ」「わかった。それを書く!」って。今この職業に就いているので、全然違いすぎるんですけど。
田丸:
僕はわりと小さい頃から今の仕事に就きたいって思っていたので、あんまり考えたことがないんですけど、でも父親がずっとプロ野球選手にしたかったみたいなので、もしかしたら目指していたかもしれないですね。僕自身、すごく野球も好きで観に行ったりもするんですけど、プロ野球選手は夢がありますよね。プロになったら、年に四十本は打ちたいですね。やっぱり一年で六億とかいただける選手になりたい(笑) 三冠取って、HR王になって、FA宣言してね。他球団から手を挙げていただいて。
田丸:
そうね(笑) アナウンサーと結婚して、最終的にはメジャーも挑戦して。そんなとんでもない選手になっていた可能性もあったんですけど、もうさすがに無理なので、来世に託したいなと(笑)
あおえは職場では眼鏡をかけていますが、ご自身の中でのスイッチを切り替えるアイテムやルーティンなどがありましたら、お教えください。
田丸:
例えば現場に入る前に決まった行動をすると“さぁ仕事するぞ!”と意気込みすぎて、緊張しちゃうんです。“仕事だろうが普段だろうが同じでいよう”と。そうすると緊張しないので、いい仕事ができると思っています。あえて言うなら特別なことは特にしないというのがルーティンかもしれないです。常に平常心を保てればいいなと。よくある“玄関を出るときは右足から”といった、いかにもというのを始めちゃうと“今日のやつ難しい…”みたいに、仕事のことを考えすぎてしまいそうな自分がいるので、できるだけニュートラルにいたいと思っています。
前野:
僕は“お風呂に入ること”がスイッチのオンとオフです。お風呂に入って、髪とか体を洗ったらもうオフなので、そこをスイッチにしていますね。翌日のリハーサルだったり、今日までに宿題を終わらせようと思ったら、決めたところまで終わらないと入浴はしないですし。逆に入浴してしまったら、お仕事はもう今日はしないぞ!お酒飲むぞ!ゲームやるぞ!っていう、そういう自由な時間にしようって決めているので、そこかもしれないですね。
赤也とあおえは幼い頃からの友人ですが、長年のお友達と過ごすとき、ハメをはずしてしまうことはありますか? エピソードを交えてお教えください。
田丸:
僕は逆で…大学とかの友達と会って話しをすると、社会人を積んできた、スーツを着た友達の落ち着きよう、みたいなものに逆に面食らってしまうんです。声優業界の方とご飯に行くとやはり職業柄声量もありますし、にぎやかな人が多いなって印象があるんですけど。そのノリで学生時代の友人と飲みに行くと“あれ? 自分一人だけ成長できてない?”みたいな。逆にそういう周りのみんなが大人になっていく中、取り残されてるっていう感覚になりますね。
前野:
長年の友達と過ごすと確かに楽しくなっちゃってお酒もすすむっていうのはよくあります。僕の場合、長年の友達っていうのがわりと地元の友達が多いので、地元が茨城なんですけど、茨城在住の友達がほとんどなので、話が盛り上がってくると僕もつい、当時の感覚で茨城弁で話をしてしまうケースが多いので、大体テンションが上がったら訛ってますね。東京に戻ってきても引きずっちゃうこともありますね(笑)