東京漫画社レコード

今回、演じれば演じるほど、頭の中の愛一郎に犬耳が生えてきたといいますか、表情だったり仕草だったりが、どこか雄っぽさを感じさせないというか、大っきな男の子なんだなって思って、そういう可愛らしさが出せたらいいなと思いながら演じさせて頂きました。
愛一郎が気持ちを向ける先の秋彦さんを演じる高橋さんが、すごく可愛らしかったり、かっこよかったり、色々な面を見せてくださった分、そんな高橋さんのセリフを受けて、僕が演じる愛一郎も素直さだったり可愛らしさが自然と出せられたんじゃないかなと思います。
愛一郎はすごく真っ直ぐで可愛らしいけど、ふとした瞬間にワンコからオオカミに変貌したりするので、それを含めてすごく楽しい人でした（笑）

本日の収録はひじょ～～～にスムーズにいったと思います。とても広い意味でいい仕事が出来たなと思っています。
今回は、そうそう老けてもいない、そうそう若くもない、わりといい加減な大人といったキャラクターを久しぶりに演じられたので、とても嬉しい収録でした。
秋彦に関しては色々とまだ謎が残っていて、この人の書く小説っていったいどんな話なんだろうっていう（笑）

ははははは（笑）

叙述系なのか、犯人が分かっている追跡系なのかとか、ミステリーにも幅があるよなーって（笑）　彼の脳内から出てくる物語がどういうものなのか知りたいなと思っているので、ぜひスピンオフでお願いします。回想でも良いので出させてください（笑）

あはは（笑）

あと、ゲームも気になりますね。夜中までやってるゲームって何やってたんだろうって（笑）

愛一郎的にはですね、わりと序盤にある「俺に責任取ってください」がすごい好きです。
この表現が正しいか分からないんですけど、抱かれちゃった人が言うセリフじゃないですか。でも状況としては逆だし（笑）
好きだし、もうどうしようもないくらい色々な感情が溢れて、どうにかして秋彦さんをつなぎとめたい。でも、なかなか取り付く島がないっていう時に、ポロって出た、俺“に”責任“を”取ってくださいっていうのが、何かすごく真っ直ぐというか、とても彼っぽいなと思って。
テンパって出てくるのがそれかっていう、ある意味衝撃っていうのもあって（笑）
愛一郎の、一途でもあり、頑固でもあり、可愛らしいってところが、ぎゅっと詰まって出てきたセリフでもあったので、「俺に責任取ってください」はすごく好きですね。

彼の話し言葉で、もう時代は変わったんだなという風に思いました（笑）
主要な登場人物が二人いて、一人が若い設定だったら相手の大人はたいてい大人なんですよ。
でも「～じゃなくなくね？」みたいな言葉遣いを秋彦が使うということは、彼が若い時には、現代の若者言葉っていうものがもう出来ていて、それが身についているからっていうことで。大人で、ミステリー作家として成功していても、そのしゃべり方が出てきてしまうっていうところが、自分的にはすごく演じていて発見でしたね。
「でもそうだよね！」って、昔、若者に流行っていた言葉っていうのが今も残ってたりすることってよーくあって、ということをすごく感じましたね。
個人的にはすごく時間の流れを感じたセリフたちでした。でも実際、四十歳を超えた俺だって「～じゃね？」とか「マジで？」とか言うしね（笑）

：俺は、焼かれたいのに焼いちゃうタイプ。「楽したい」「これやって、あれやって」って思うんだけど、「いや、そうじゃなくって！」って手を出しちゃう。

ついつい（笑）

そう。ついつい出しちゃうタイプ（笑）

僕は親しくなればなるほど、だらしなくなるタイプですね。特に「やってよ」とかお願いするわけじゃないんですけど、すっごく面倒くさがりなので、あまりに僕が手を付けるのが遅すぎて、「あぁ、ったく！」って感じで相手にやらせてしまうタイプですね。

―――二人の相性バッチリですね（笑）

そうね。けっきょく、面倒みちゃうのかなみたいな。

脱ぎっ放しの洗濯物とか自分としては後でいいかなって感じに。

分かる分かる！　俺が脱いだものは別にどうでもいい。でも他の人のものが混ざってると、「ちゃんと整頓しなきゃ！」って思う（笑）

あはははは（笑）

僕は、空港とか銀座のデパートとか、ちょっとしたとこで見かける、大人の男性がマネークリップからお金を出して支払う時。こう、マネークリップをパカって開けて、中から一万円札がスパって出てくる、あの一連の所作（笑）

すげー大人っすね！

かっちょよくない！？（笑）

「えーっと、えーっと」ってやってるよりかっこいいですよね（笑）

「お釣りはいらない！」っつって（笑）

あはは(笑)

どうですか？

僕は仕草というよりエピソードになっちゃうんですけど、二、三年前にお仕事でシンガポールに行かせて頂いた時に、すごく不愛想なおじさんが売店で店番をされていて、買い物中もずっと「いくら」「いくら」みたいな不愛想な対応だったのに、帰り際に急にボソッと「ありがと～」って言われた時は、「何だそのギャプは！」ってすごいキュンとしました（笑）
顔は全然笑ってないんですけど声だけ優しかったですね。キュンな思い出です（笑）

いいですねー（笑）

ははは（笑）

愛ちゃんに押されて秋彦が困ってるだとか、愛ちゃんは秋彦に受け入れられなくて悩むだとか、そういうのはあるけど、基本的に嫌なことが起こらないっていう、とても幸せな内容のCDだと思います。
僕も演じさせて頂いて、すごく楽しかったです。
二人の心の動きとかがしっかりとあって、噛み締めながら演じさせて頂いたので、そういったところを意識して聴いて頂けたら嬉しいなと思っております。
ですので、発売まで楽しみに待っていてください！

今回、愛一郎を演じさせて頂いて思ったのが、愛はつよしと言いますか、一念岩をも通すと言いますか。一途にひたすら真っ直ぐにぶつかっていき、すれ違いそうになったりとか、気持ちがうまく伝わらないようなところでも、しっかりと前向きに彼自身がどんどん自分がやれることを探して、愛情を持って相手に接しているっていう姿が本当に尊く、かっこよく見えました。
秋彦さんと一緒にいるときの可愛らしい愛一郎の姿も、その姿を見てやれやれと呆れながらも確かな愛情を返してくれていく秋彦さんの姿も、本当に素敵で心が温かくなるような作品だと思います。
そんな愛一郎の可愛らしさだったり、かっこよさだったり、秋彦さんへの想いというものを、少しでも表現出来ていたらいいなと思います。
CDが発売された際にはぜひお聴き頂いて、ご自身のお好きなキュンポイントだったり、いいなと思えるポイントを探して頂いて、楽しんで頂ければなと思います。どうぞよろしくお願い致します。

簑原はパーソナルな部分が過去にうっすらとしか描かれていなくて、でも人物像が出来上がった状態で登場していたので、どうやってキャラクターを作っていこうか、ちょっと悩んだりもしましたね。
秋彦くんに過去、「古い知り合いでね」と紹介しながら複数人で…とか、僕自身、そういった趣向がないものですから、どういう感情かなと思いつつ。悪気はないんでしょうけどね（笑）
ポリアモリーといいますか、同時に好きとか複数と関係を持っているとか、嫉妬がない世界なのかなとか思いながら、自分なりに簑原の変態性というよりは人間性を考えて、雲を掴むような人というか、飄々としている感じや、ミドル感が出せればいいなと思いながら演じました。
歳が近かったので、声質的には演じやすかったです（笑）

耳に残りやすいのはきっと「まだねこちゃんできるんだ？」とかそういう系だと思うんですけど（笑）
簑原先生のセリフで僕が好きなのは、「“付き合う”っていうのは色んな制限になるからなあ…」ですね。秋彦リフレインじゃないですけど、簑原の中に秋彦を見つけてしまう榎本の何か複雑なものとか、そういったものを引き出すセリフの良さを感じられて、僕は好きでしたね。セリフとして言うのも。
言うの、何だか厭らしいじゃないですか。でも本人は榎本が聞いているのを知らないから楽しげに言えるという、まさに猟奇的（笑）

秋彦が、嫌がって避けている人の中に自分と同じものを見つけて、それに対する苦悩だったり、同族嫌悪じゃないですけど簑原へのそういったものを機に、問題を起こして色々とごちゃ混ぜになっていたメイン二人が、以降、徐々に何かしら寄り合いを見せていくというか。これからの二人の未来が楽しみな話だと思うんですけど、そう思わせるきっかけになるような事の荒立て方が出来て、わたくしは満足でございます（笑）
そういう部分に注目して聴いて頂きたいですね。

ロシアの小説家の二重スパイものとか、北方謙三さんみたいなハードボイルドの歴史ものとかは昔からよく読んでいて、でも勧められたものは何でも読みますね。雑食というか、誰かがお勧めだよと言った本は絶対読むようにしています。
本のいいところって、漫画も小説もそうですけど、自分の年齢だったり、その時の環境によって得られる感覚も違うので、何度読んでも面白いのかなという気がします。そういうのを探すのが好きですね。
涙を流したい時に読む本とか、涙を流したい時に観る映画みたいなものが自分の中にあって。あと、この映画を観るとリセットされるとか、そういう作品は何度も観たり、読んだりしていますね。

披露宴パーティーとかで盛り上げるのが好きなので、結婚式の司会とかはけっこうやったりしていますね。
お色直しで新郎新婦さんが退席して二人がいなくなった瞬間に、わたくしのオンステージが始まるっていう結婚式がありましたね。各卓まわりで司会者がマジックをしてっていうのは想い出深かったです。
もちろん強引に入れ込んだわけじゃなくて、新郎新婦が出席された方を楽しませたいからということで、「じゃあ、やぶさかではございません」ということでやったんですけど（笑）
結婚式では他にも物まね全開で色々やって盛り上げたりしています。楽しいのが一番ですからね（笑）

僕、憧れている声優さん、ナレーターさんが三名いらっしゃいまして。
家弓家正さん、小川真司さん、窪田等さん。この三名に憧れてる部分がありますね。
どうやっても自分に出せない音を持っているっていう人と、どうやってもこんな間で読めないだろうなっていう人と、何て素敵なナレーションするんだろうっていう人で、三者三様でそれぞれ違う仕事の部分での憧れっていうのを持っています。
お二人は故人なんですけど、願わくは共演したかったですね。
三名に限らず、昔からなんですけど、憧れている方のナチュラルに近いナレーションがあったら、それを完コピするっていう作業はしていますね。波形をみて全部合わせて一緒にして、そうするとその人のバージョンの読み方も自分に身につけられるじゃないですか。感覚派ではないもので（笑）
そういうので玉数を増やしていくというか、どっかで使えるんじゃないか、どっかでこれが出来るんじゃないかみたいなのはトライアンドエラーですけど、やっていますね。
好きなことは勉強だとは思わないからいいんです、多分。勉強は嫌いなんで（笑）

主人公二人のある種、初恋を見ているような姿を楽しみつつ、引っ掻き回し担当の私と木島さんが自由に動いているので、その辺も想像を超えるようなお芝居が出来るように努めましたので、メイン二人に注目して頂きつつも、四人の絡み合いもぜひ聴いて頂けたらなと思っています。
ぜひぜひCDをお手に取ってくださいませ。よろしくお願い致します！