山下:
職人っていう部分をすごく大切にされていた作品でした。仁という役は、自分に似たところもあったのですが、自分とは違う大人っぽさがあって、そこにちょっと苦心したりもして、その場でも考えることが多かったですね。型に入れてピュアに演じるというよりは、ぎこちない感じというか独特な気難しさというか、特に感情表現を大切に、悩みながら演じさせて頂きました。そういう意味では、新しい発見もあったりと、新鮮な気持ちでありがたく演じさせて頂きました。そして、蛍さんとのやりとりも楽しく演じることができました。
興津:
蛍はかっこいい男だったので、ドキドキしながら演じました。ノーブルを意識して演じたんですけど、少しノーブルさが足りないところがあったりして、「もっとノーブルに」というご指摘を頂き、「あっいけないいけない。僕はノーブルな男だった」と確認しながら演じました(笑)
立花:志摩は非常にアブノーマルでしたね。
立花:
とても紳士的で、登場時は別の恋人なのかなと思わせておいて、結果ただの変態でしたね。思っていたよりも変態に仕上がりました(笑) 語尾にハートマークがあったり、振れ幅が広いというか遊び心があるキャラクターだったので、とても楽しく演じさせて頂きました。キャラクターとして引き立ってくれていれば非常に嬉しいなと思います。
演じられていて特に印象に残ったセリフやシーンがありましたらお教えください。
山下:
じいちゃんの「自分にないものを持ってる奴に惹かれちまうんだ」っていうセリフは大きかったなって思って。「あぁ!」ってストンと落ちてきたというか。仁としてもそうですし、自分としても、あぁそうかもみたいなところがあって、何気ないところで誰かがヒントをくれるっていうか、だからこそ当人同士では分からないけどっていうのはすごく上手いな!と思って、スーッと心に入ってきて、すごくやりやすかったなって思っています。あと、志摩の「乳首の色は何色?」っていうのが「ストレート! アブノーマルや!」って思って(笑) 志摩のキャラが、いい意味で「思ってたんと違うのがきた!」っていう感じで、収録中に横で聴いていて本当にあわあわしていました(笑) 楽しく演じさせて頂きました。
興津:
僕も「乳首の色」ですね(笑) さらっと言うところがすごいなーって。「えっ、この人何言ったんだ?」と思って、自然な会話の中で今そんなこと訊かないでしょ?って、一瞬ときが止まりましたね。仁くんももちろん止まったんでしょうけど、僕も横で聴いてて、「止まるわー、これ」って思いました。「だーかーらー、ち・く・び」って、「わー、ダメだ。この人、ダメだ」って(笑)
興津:
「危ない! 危ない!」って(笑) 自分のシーンだと、元々仁のことを好きだっていうのを隠しながら、冷たく当たるじゃないですか? だから、ポイントポイントで「俺、実は好きなんやで」っていうのを滲ませたんですけど、それは本編を聴いてご確認ください(笑)
立花:印象に残るセリフしか言ってないような気がするんですけど(笑) でも他人の体にピアス穴を開けるっていうのはいかがなもんかと思いますよね。
興津:
あれ、あんなに簡単に開けられるんですかね?
興津:
この前テレビで、直接金属のフックを肌に引っかけて、吊るされて気持ちいいみたいな番組を見たんですけど、だから大丈夫なのかな?
立花:
結局ね、痛みが快楽に繋がる人もいるかもしれないからね。しかも、志摩は自分じゃないからね。他人に開けようとしてるから(笑)
興津:
ああ、そっか。痛がるところも見たいから、わざと痛くしてるんでしょうね。
山下:
作品に漂う上品さやノーブルさですね。専門用語が数多く出てきまして、なかなかアクセントとかイントネーションが独特で難しかったところもあるんですが、実際そういう単語を使われている職人の方がいるって思うと、すごい世界っていうか、奥が深い世界だなと思って。あと、言葉の端々が美しいというか、そういうところがこの作品の個性になっているんじゃないかなと思います。あとは、後半にアブノーマルな方も出てきてガラっと雰囲気が変わりますので、そういうところも聴いて頂けたらと思います。あとは、二人の不器用さですかね。頑固さ故に、余計にいじらしい!みたいなところが聴きどころかなと思います。
興津:
褌! 採寸っていいですよね。音声だけで聴いて頂いても十分楽しめるんですけど、どういう風にメジャーを使っているのかっていうのは原作を読んで頂いた方がとてもよく分かるので、視覚と聴覚の両方で採寸シーンを楽しんで頂ければと思います。
立花:
僕は途中からの登場なんですけど、仁と蛍が二人で喋っているシーンが非常に多くて出ているキャストが少ないなぁと思っていて。それ故に二人だけの濃密な時間っていうところが聴きどころだと思います。蛍と仁のキャラクターってすごく普通のキャラクターというか、志摩みたいにキャラが尖っていないので(笑) 一般の人が投影しやすいような、実際にありそうだなこの二人っていう空気感っていうのが非常に感じられる作品だなと思ったので、そこを感じて頂けると嬉しいなと思います。
今回、職人を演じて頂きましたが、人には負けない知識や技術などがありましたらお教えください。
山下:
僕占いが好きで、勉強して人を見られるくらいになりたいなって最近思っています。タロットは持っててちょっとやるんですけど、まだまだアンチョコが必要なレベルなので、人に頼まれたときに「あ、いいですよ」って、パパパって占いができるようになりたい。生年月日や星座を使うものもももちろんなんですけど、占いの種類も色々とあるので、何か一個尖らせてできるようになれたらいいなって思っていますね。
山下:
いいですねー。いつか(笑) 興津さんはいかがですか?
山下:
なんですかー(笑) お酒、お好きですよね?
興津:
お酒は好きだけど知識はないですよ。酔っぱらうと覚えていないので。
興津:
手品がやりたいですね。お正月とか、姪っ子とか甥っ子とか親戚が集まったときに、一個手品ができたら盛り上がるじゃないですか。そいうのができたらいいなって。
興津:
スプーン曲げ用に売ってるやつじゃなくてですか?
立花:
違う違う。俺、前に企画で教えてもらって、サングラスかけて、サイエンス立花ってやつやった。
立花:
ラジオで、超能力の企画とか色々やってきたけどそんなんできるわけないじゃんって結果なって、今までの集大成として、スプーン曲げをすることにしようってなったんだけど、会場にいた400人のお客さん全員にスプーンを配って、一人ずつ曲げていくっていうのをイベントでやった。でもコツさえ掴んで鍛えれば簡単にできるよ。
立花:
力じゃない。その代わり曲がらないスプーンは絶対に曲がらない。
立花:
それはマジシャンの中でも言われていて、百均の3本入ってるやつ。それ以外は曲がらない。
興津:
へぇ! へぇ!! ちょっとメモろう! マジシャンコーナーで売ってるやつじゃないんだ?
立花:
百均のそれ以外は力を込めないと曲がらないか、むりやり曲げてる。化学なんですよ。サイエンス立花のときは、手の中で支点力点作用点を作ることによって、スッて曲がる。そのやり方を教えてもらった。
興津:
あとは見せ方か。でも同じスプーン配っちゃったら、その人たちも曲げられる?
立花:
もちろん。クッてやれば曲がっちゃうんだよ。なんだけど、一応曲げられちゃった後にもちょっと手を加えられる。絶対こんな風に曲がらないだろうっていうやり方とかもあって、捩じったりとかはコツがいる。
立花:
教わった。そのときは教わってから本番まで一カ月くらいあったから、毎日家で十本ずつスプーンを曲げて練習してた。
立花:
大量に買ってきて、毎日十本ずつ不燃ごみが出るの。曲がったやつが。
興津:
立花さんの特技はスプーン曲げということで。
エスカルゴが出てきましたが、こんなすごい食べ物を食べた!(見た目・味・高級食材)などのエピソードがありましたらお教えください。
山下:
:初めて食べたものならあります。卵ってピクルスにするんだーって思って。
山下:
うずらの卵を冷やして食べるんですけど、酸っぱいんです。新食感でした。昔は酸っぱいのダメだったんですけど、最近は美味しくなってきたので、「しゅっぱうまー!」ってなりました。立花さんはエスカルゴのような、ゲテモノ経験はおありですか?
立花:
ゲテモノは、サソリとかは食べたことがある。大阪で串揚げ屋に行くと、ゲテモノ串があったりして、そのときにカンガルーとサソリは食べた。
立花:
俺、臭み感じないんだよね。だからジビエ料理とかも全然食べられる。鹿とかも美味かった。
立花:
結局肉があんまりないからさ、海老をカラっと揚げた感じ。殻だから、サクサクしてて美味しい。そのときに、コオロギとワニもあって、ワニは普通だった。コオロギは食べなかった、さすがに。完全に見た目がゴキブリだったから。
立花:
小さいやつ、丸ごと。火を通してるから毒もないからさ。
興津:
俺は、バッタを食べたら足が口の中で引っかかって痛かったので、足は捥いでから食べた方がいいと思いました。
興津:
バッタでした。バッタって書いてあった。バッタ・ソルトって。素揚げの塩味(笑)
興津:
意外とでかかった。4cmくらい。トノサマバッタ風でした。
他人のどんなところに色気を感じますか? また、ご自身の色気ポイントがあればお教えください。
山下:
普段元気な人が真顔になったり黄昏ていると、その横顔に色気を感じます。「あ、この人こんな顔してるんだ」みたいな。
山下:
そうですそうです。切なげに遠くを見ているとか、そういったところに色気を感じたり、素敵だなって思いますね。自分の色気…まぁ、ベース色気がない人間なんですけど(笑) うーん、なんか「手はきれいね」ってたまに言われます。
山下:
色気…内側からにじみ出せるようになりたいです。蛍さんのように。
興津:
初めてへそピアスを見たときはドキッとしました。「へそ、光ってるよ」みたいな。衝撃的でした。
興津:
うん。綺麗な石が付いてるやつで、なんだか見ちゃいけないものを見てしまったって思った。自分は、特にないですね…。色っぽくなりたいです。
興津:
ないっすねー(笑) あ、気だるくしている、とか…?
立花:
そこに色気を感じるかもしれないですね。自分の中の色気…色気って自分が感じるものじゃないからね。他人が感じるものだから。うーん…、言葉で人を殺せることかな(笑)
興津:
おー、すごい! 怖い怖い怖い(笑) すごい技術を持っている。スプーンを曲げられるだけじゃない(笑)
山下:
CDを楽しみに待ってくださっている方がたくさんいらっしゃると思います。本当にありがとうございます。原作を読んだときから感じたノーブルさと、大人にも関わらずというと変な言い方なんですけど、大人でもピュアな恋をするすれ違いがあって。また自分の仕事や好きなものに向かっていく熱くて、それでいて爽やかなものが流れていて。自分を重ねながら演じることができて本当に楽しかったです。二人のやりとりが多いんですけど、視点を変えると違う発見があったり、色んな感情移入ができる作品だなと思ったので、ぜひぜひ繰り返し聴いて頂ければなと思います。よろしくお願いします。
興津:
色男テーラーと不器用靴職人の恋模様をぜひお楽しみください。変態宝飾バイヤーも出てきます。お聴き逃しなく!
立花:
スーツの世界と靴の世界って身近にあるけど、なかなかドラマの題材として取り上げられることは少ないのかなと思いますので、この独特な雰囲気っていうのを楽しんで頂けたらなと思いますし、その中で恋していく二人と、ちょっかいを出すアブノーマルがいらっしゃいますので、キャラクターたちが織り成す物語を楽しんで頂けたらなと思っています。よろしくお願いします。