前野:
純愛とコメディがバランスよく構成されている作品ですので、切り替えで難しい部分はあったのですが、終始楽しく演じさせていただきました。
原作を読ませて頂いたときからクスっとしてしまう部分もたくさんあって、台本チェックをしながら「ここは原作ではこういう感じだったな。フフ」って思いながら読みました。台本をチェックしている段階からすごく楽しく作らせて頂けました。
また、天﨑君と掛け合いで録れたというのもすごく嬉しかったです。とても濃い時間でした。
天﨑:
僕も前野さんと掛け合いで録らせていただけたのはとても良かったなと思いますし、作品を通してガッツリ共演することができて嬉しかったです。
原作を読ませていただいた時に、僕も前野さんと同じようなことを思いました。
絶妙な表情やコマの使い方、自然とクスりと笑える部分もあれば考えさせられる部分もあり、ナチュラルな彼らの日常がすごく丁寧に描かれている作品だなと思いました。
収録する時も色々と試させて頂きながら演じることができてすごく楽しかったですね。
皆あると思うんですけれど、早見君のように、僕自身も秘めている部分がありまして。
天﨑:
秘めて自分の中で育ててきたものが夢としてだんだん芽吹いてきて、今も自分の手で掴もうとしている所なので、すごく共感できる部分が多い早見君を演じることができて良かったなと思いました。
今作の聴きどころ(セリフやシーン)をお教えください。
前野:
台本を読んでいてすごく印象的だったのは、回想で、早見君が三田村に興味を持つきっかけになったシーンでした。
早見君が、三田村の落としたエロ本を拾って。女子生徒に「スケベの三田村よ!」と言われながら去っていく三田村の後姿を見て「なんて堂々としているんだ」というシーンは、インパクトがありましたね(笑)。
前野:
(笑)あそこをリアルに想像したときにすごくインパクトのあるシーンだなと感じて、台本読みながら「おおぉ」って思ったシーンでもあるので、すごく気に入っていますね。
天﨑:確かに(笑)早見君は結構天然なところがあると思うのですが、三田村も結構天然だなと思います(笑)
一生懸命がゆえに突っ走ってしまうところが面白くて。早見君が三田村に対して「全然わかってない」と言うシーンが何段階かあったのがコミカルで面白かったですし、最後の「わかってない!」のセリフに繋げる辺りが一読者としてグッと心を掴まれました。
とてもドラマチックかつ、彼らの日常をうまくリアルに描いていて絶妙な塩梅だったなあと思いました。
前野:
女子に整えられた時とか普通にイケメンでしたよね。
三田村はスケベであることを貫いていますが、日常生活などで大切にしている価値観や信念などありましたら教えてください。
前野:
僕は子供の頃からずっとこの仕事に就きたいという夢を持っていましたし、下積みも長かったということもあり、応援してくださっている皆様に見られて恥ずかしくない生活をしないといけないなと思いながら過ごしてますね。
天﨑:
僕は、この業界を好きになったきっかけが、学生時代あまりうまくいかなかった時に、深夜にやっていたアニメを見て救われたことでした。そこからどっぷりアニメにハマっていきました。同じように、僕の作品を見た人がクスっと笑って、次の日から会社や学校に行きやすくなるよう少しでも助けになれたらいいなと思いながら活動しています。学生時代うまくいかないことがあったからこそ今の自分があるので、意味のないことはないと思って生きるようにしていますね。
失敗も何もかも無意味だと思ってしまうと、自分の今までを否定してしまうことになるので、そこに価値を持たせてあげるようにしています。
早見はバスケ部に打ち込んでいますが、ご自身が学生時代打ち込んでいたことや部活などの思い出・エピソードなどがありましたらお教えください。
前野:
中学の時にサッカーをやっていましたけど、サッカーって社会人になってやることってそうそうないんですよね。
専門学校に入った時にスポーツ大会があって、その種目はバスケだったんですよ。バスケって経験者と未経験者の差がもろに出るスポーツだと思っていて。そこでバスケ経験者の方はボールさばき等が上手でキャーキャー言われていて、自分も子供の頃にバスケをやっていれば、身長ももう少し伸びたかもしれないし、そういうところでも活かせたかもしれないかなと思いました。
あと高校ではお金を貯めるため、放課後、飲食店でウェイターのバイトをしていました。そういうところで声の出し方とか、人との接し方などを学んだ気がしますね。色んな社会の理不尽さも学びましたね。
天﨑:
僕は中学生の時に水泳部に入っていたのですが、全然まじめな部活じゃなかったんですよ。
普段は普通にプールで遊んでいるだけなのが、夏場は先生が本気を出してくるので朝から晩まで10㎞位泳いだりしていました。
オフシーズンになると皆まともに練習せず、体育館でバレーバールをして遊んでいたりもしたのですが。何を思ったか、二年生の冬に皆がサボっている中、一回マジメに取り組んでみたんです。温水プールにも通って練習をしていたら、三年生の夏に驚くほどタイムが伸びてレギュラーになれたんですよ。
天﨑:
その経験が自分の中で衝撃的で。一生懸命やったら結果はちゃんとついてくるものなんだな、やって良かったなと思いました。今でも誘惑に負けてしまいそうな日はあります。家にいるとゲームやアニメの誘惑に負けそうになる時はあるんですけど、ここで頑張るぞって、台本を読んだり、トレーニングしたりするようにしています。
早見には人前で脱げない秘密がありますが、ご自身の今だから言える秘密がありましたら教えてください。
前野:
ヒミツにしていることは……ないんですけど。本当は僕、年齢非公表で活動しようと思っていたんですよ。ミステリアスな雰囲気で、プライベートのことには触れず、仕事だけして帰ります、みたいな職人気質な感じに憧れて、そういう風に売り出そうと思っていたんですけど。
前野:
でも、ダメでしたね(笑)ひょんなことから年齢も世間に出てしまい、ラジオ等で自分のプライベートのことも発信してしまうタイプなので。あわよくば謎めいた路線で行きたかったんですけど、無理でした。設定を徹底していれば、違う未来があったかもしれないですね(笑)
天﨑:
声優なんですけど(笑)声優になる前からアニメが大好きなように声優さんも大好きで、街中で声優さんの声がきこえてきたらすぐ誰か分かるくらい、すごくいい耳を持っていたんですよ。
天﨑:
大好きだった声優さんのいる業界に入ってしまったので、最初の頃は現場で声優さんにウハウハする浮ついた気持ちをとにかく秘密にしていましたね。「あっ!あの作品のあの方ではないか…!」っていう気持ちを一切出さないようにして。仕事が始まればそんなことを言っている余裕もないのですが、休憩時間とかにそうならないように、この気持ちを秘密にしておこうと思っていましたね。だんだん、同業者としてお話して、関係値を築いてから「昔こういう作品を見てまして」ってお話しするようになりましたけど、最初の頃はひた隠しにしてましたね。