遥香は成美にケンカを教わることに熱中していますが、ご自身が学生時代打ち込んでいたことや部活などの思い出・エピソードなどがありましたらお教えください。
斉藤:
音楽とか小説とかアニメとかそういうフィクションのコンテンツがすごく好きで、僕は地元にいた高校生の時は、“ここではないどこか”や“自分ではない誰か”という、今ここではない場所というものにすごく焦がれていいましたね。
現実逃避というのは今後(のインタビューの回答にも)使えそうだなって、今思いついただけですけど(笑)
斉藤:
とはいえ俺、31だから、そろそろ結構微妙な感じではあるんですけれど(笑)でも、それが今の自分の趣味趣向を決定づけている部分でもあります。もうちょっと素直に青春しておいても、それはそれできっと違う自分の心の引き出しがあっただろうなと思うのですが、現実逃避をしていました。
鈴木:
僕は部活です。もう三年間ずっと放送部に費やしてきました。勉強もしてないし、昼休みは視聴覚室で発声するし。プライベートでも、家に帰ってお風呂の時間も本をお風呂場に持っていって暗記して覚えてと言う事をずっとやっていました。それが今に役立っていればいいのですが。その三年間は日本語と、他の誰よりも、すごく親しみを持って友達になるかの如く、密に過ごしたと思います。何気なく日本語を喋っているけど、意外と深く理解できないんですよね。それを一年生の時に大会での講評で、先生方に「自分の読みどうこうよりも、こういう風に放送の世界に飛び込んで日本語を知ってもらえるのがすごくうれしい。ありがとう」と言ってくださったのがすごく印象に残っていて。
遥香は学校に内緒でバイトをしていますが、学生時代のアルバイトの思い出などありましたら教えてください。
斉藤:
僕は大学生になってから飲食関係でアルバイトをしていました。オープンから入っていたお店だったので、最初の一年間位はお客様がそんなにいらっしゃらない日もあって…。僕はそのお店のシェフととても仲が良くて。めちゃくちゃお店が暇なので、そのシェフがずっとスマホの戦略ゲームをやっていて、「斉藤!これどっち勝つと思う?」「知りませんよ」みたいなやりとりをよくしていました。
斉藤:
山梨から上京して、大学で東京に出てきて、こんな広い世界があるんだと思いました。アルバイトという形で、大学とはまた違う人と出会えたのが貴重な財産だったと思います。ワインバルというかビストロみたいなところでした。シェフは海外に行ったことがないけれど、「俺が作っているのは日本人の舌に合う料理の融合なんや!」って言っていましたね。実際本当にシェフの作る料理がおいしくて。
斉藤:
まかないがすごくおいしかったです。まったく同じようには作れないんですけれど、その時に出してもらった料理のレシピを未だに覚えています。そこで食に対しての知識の基礎を教えてもらったのは印象に残っていますね。とても楽しいバイトでした。ワインの知識なども教わりました。グラスの形状によって味や香りの感じ方がどう変わるのかなど、色々教えてもらいました。スマホゲームと共にね。
鈴木:
僕は、高校卒業した後3か月居酒屋で働いてました。高校在学中から声優活動を始めていたのでそんなに長くは続かなかったんですけど、中学の一番仲のいい友達と同級生との三人で一緒にバイトをしていて“3バカ”って呼ばれてましたね。
鈴木:
月に一回か、週に一回、朝までお店を営業して、閉店後に従業員が集合して会議していました。
鈴木:
そうなんですよ。そのミーティングが朝の6時、7時くらいから始まるので、めちゃくちゃ辛かったなあって。
鈴木:
5時くらいにお店を閉めてから皆集まるんですけど。僕は必ず細かく時間を確認していて、その時間が来たら洗い物の途中でも帰っていました。
鈴木:
洗い物途中でも「あ!失礼しまーす!」って言って帰るタイプの人間でしたね(笑)
斉藤:
ちゃっかりしてるなあ(笑)僕はタイムカードを切った後に残って作業をしていたら、軽く奢ってくれたりしたんでお店に結構残っていましたね。「斉藤これ食べ!」ってキッシュをくれたり。
鈴木:
いーなー!でも、うちもまかないは店長のチャーハンが美味しかったです。
成美は遥香にネクタイをプレゼントされていましたが、ご自身が今まで貰ったプレゼントの中で嬉しかったもの、もしくはあげて喜ばれたものなどありましたら教えてください。
斉藤:
プレゼントって物より気持ちが大切ですよね。僕あんまりプレゼントをあげた経験が無くて恐縮なんですけど、両親が温泉好きなんで、声優業一本で食べられるようになった時に温泉旅行をプレゼントしようと思っていて…。今でもそう思ってます!
鈴木:
いや(笑)今の壮馬さんだったら毎日温泉プレゼントしても余るぐらいでしょう(笑)
斉藤:
(笑)。温泉旅行もそうですけど、30を超えて家族とか、これからの人生に対する考え方も変わってきたので、お世話になっている方に色んなご恩を返していくのもそうだし、まず何より両親に、その形としてもプレゼントをして恩を返していきたいなあと思い続けています。
常に相手を思うということがプレゼントだと思うので。
斉藤:
たまに実家に帰って、たわいのない話をしてご飯を食べるってことができればいいですね。両親に対しての一番の恩返しは日々仕事を頑張っていく事かなと思います。真摯に仕事に向き合ってプレゼントをお返ししていきたいと思うので、お仕事をお待ちしております(笑)
鈴木:
めちゃくちゃキレイな締めだなぁ。思ってるだけなのに(笑)
鈴木:
いいなぁ(笑)いい締めですね。僕は手紙ですかね。
鈴木:
はい。特別な事が無くても、この仕事をしているとファンの方々に沢山手紙を頂くことがあるんですけれど。昔、母さんの仕事が忙しくてなかなか夜会えなくて、母さんと文通みたいなことをやっていたんですけど。
鈴木:
母さんから聞いた話で、僕はあまり覚えていなかったんですが、母さんからは手紙に「具体的な事を書いてね」って言われていたんですけど、僕は「今日楽しかった!」という事しか書いてなくて。母さん的にはこのまま文通を続けても意味がないからやめようって途中で僕の書いた手紙にコメントをするのを止めたんですよ。それを小さい頃の僕が、いつも母さんが手紙にコメントをくれていたのに、途中から無くなったことに対して「なんで返信ないの?」って寂しがっていたっていうエピソードがあるんですけど。自分の中ではあの時、母としていた文通がすごく好きでしたね。今は頂いたお手紙は全部家に大事に保管していますね。手紙や文字はその人を表すと言いますし沢山書いてくださって、イラストとかも描いてくださるし思いがすごく伝わるなと思いますね。
斉藤:
こういう便利な世の中になっているからこそ、手紙、それも手書きのものをいただけると嬉しいよね。
鈴木:
たしかに最近は(デジタルの)テキストばっかりですから、特に今は手書きっていいなって思いますよね。
斉藤:
どんな便せんにしようか、どんなペンで書こうかと、こだわって書いてくださっているから、その気持ちが嬉しいですね。
斉藤:
素敵な原作と出会えて素敵なキャラクターにも巡り合えて自分なりに真摯に収録をしてみました。演じていてすごく色んな感情の揺さぶられ方がありました。遥香君の声をやっていて、なぜか自分が救われるというか。僕はあまり遥香君に似ているところがないんですよ。だからか、遥香君にすごく憧れてしまうというか、自分の身近にも遥香君みたいな人がいまして、自分はこういう人が好きだなと改めて感じて元気になりました。原作と合わせて、皆さんにも繰り返しドラマCDも楽しんで頂けたら嬉しいです!
何卒よろしくお願いします。
鈴木:
僕は、初めての(BL作品の)相手が(今回、花巻/高瀬役の)千晃君だったんですけど、その初めての相手に見られながら、なんか因縁みたいなのがあったのかなって(笑)
鈴木:
この作品に出会えたことで繋がりも出来たなという風に思いました。本当に素敵な原作で、僕の演じた和雪先生の“先生像”が素敵だなと思いました。喧嘩していた過去があったけれど、古典が好きで先生になっていて。僕の昔の夢が先生になることでして。小学校の担任も、中学校の担任も、高校の顧問もすごく素敵な先生に出会ったので、僕は学校を卒業できたなと思っています。そういう人の出会いに感謝するきっかけを与えてくれる、そんな素敵な先生に出会えたのがすごく嬉しくて。和雪にもそういう僕の理想が当てはまる部分があり、そんな和雪を演じられたことが素敵な経験になったなあと思いましたので沢山聴いてください。